つむじまわりの髪は抜け、全体にちりちりになっており、内側のベースは黄色く変色している。 修理しながら使ってきたが、サロンに行くたびに、店員から「もう買い換えですよ」コールを受けていた。 もう一度修理できないか、と尋ねても、もう無理ですとの答え。 だが、かつらを新しく買い換えたくても、金がない。 ローンも勧められるが、今の会社の経営状態を見ていると、ローンを返し終わるまで、会社にいられるか どうかすら定かではない。 住宅ローンに加え、かつらローンまで抱えたら、もしもの際は破産である。 そんな事情から、店員の買い換え攻撃をかわすのは、もはやCさんのサロンに行くたびの習慣となっていた。 (続く) |