かつらがばれた

既にCさんのかつらは購入後3年を経過しており、そろそろ限界となっていた。

つむじまわりの髪は抜け、全体にちりちりになっており、内側のベースは黄色く変色している。
修理しながら使ってきたが、サロンに行くたびに、店員から「もう買い換えですよ」コールを受けていた。

もう一度修理できないか、と尋ねても、もう無理ですとの答え。

だが、かつらを新しく買い換えたくても、金がない。

ローンも勧められるが、今の会社の経営状態を見ていると、ローンを返し終わるまで、会社にいられるか どうかすら定かではない。
住宅ローンに加え、かつらローンまで抱えたら、もしもの際は破産である。

そんな事情から、店員の買い換え攻撃をかわすのは、もはやCさんのサロンに行くたびの習慣となっていた。

(続く)